【映画】笑えて、泣けて、熱くなれる。45年の歴史を体感できた「スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021」の感想(ネタバレあり)

特撮

2021年2月20日(土)より公開の「スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021」みなさんはご覧頂いたでしょうか?本作は昨今の社会情勢の影響により公開が延期されていた魔進戦隊キラメイジャー劇場版と共に、新戦隊である機界戦隊ゼンカイジャーのお披露目に加え、騎士竜戦隊リュウソウジャー特別編を含む3本立ての映画となっています。前回のVS構成から変更した(せざるを得なかった)ことにより改めてスーパー戦隊の厚みを感じた本作についての感想を綴りたいと思います。※1.本編の内容に触れております。ご了承の上ご覧頂ければ幸いです。※2.作品感想は上映順に記載しております。

〈笑える〉魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIEビーバップドリーム

“あらすじ”

ヨドン軍幹部・ミンジョはクリスタリアから奪ったドリームストーンを悪用し、人々を夢の世界・ユメーリアに閉じ込めた。キラメイジャーは人々を救うべく、ドリームストーンの在り処を探すためユメーリアを奔走する。

キラメイテイスト全開!豊富な笑いどころ

キラメイジャーといえばTVシリーズ終盤こそシリアス感が出てきていますが、基本は明るくコミカル要素が多い作品です。本作ではそのコミカル部分が遺憾なく発揮されています。

もはやテンプレ、バラエティキング時雨

本作でもオイシイ扱いをされている時雨。ユメーリア内で衣装チェンジが行われ、瀬奈・小夜は素敵な浴衣姿を披露しますが時雨は法被にひょっとこのお面!おまけにミンジョの攻撃により頭にかき氷器がパイルダーオン!インパクト大だったTVシリーズ第3話、万力回の再来です(笑)水石さんの熱演に加え、やはりブルーがコメディ担当になっている部分は面白さを引き立てているように思います。

ついに出た!博多南×PPAP

劇中では博多南がキラメイジャーを目覚めさせるべく、ピコ太郎のPPAPを披露します。いつか使うネタとは思っていましたが劇場版の1シーンとして温存していたようです。それもしっかりと尺を使っています。エンドクレジットには挿入曲として記載もありますしキラメイジャーだからこそ違和感なくコラボが成立していますね。

オラディン王の暴走に可愛いガルザ!細かいネタが詰まったエンディング

夢の中に登場するオラディン王は、実際のオラディン王とは違う性格で登場します。異常なテンションで登場し、コマネチや変なおじさんの踊り等立て続けに披露していきます。それに杉田さん演技がマッチして異常なオラディン王の完成です。エンディングでもそのキャラクターが反映されており、劇中に登場するラグビー邪面に本気のラリアットを炸裂させ直ぐに謝る部分は振り切ってました(笑)TVシリーズで不遇な運命を辿るガルザも本作ではお茶目な部分も垣間見えます。エンディングでは踊るクランチュラの横でそっぽを向いており、踊りはしませんがカットが切り替わるたびに、全身でリズムを取って行きます。芸が細かいなと思うと同時に、全てのキャラクターへの愛情が伝わってきました。

〈泣ける〉騎士竜戦隊リュウソウジャー特別編メモリーオブソウルメイツ

“あらすじ”

ガイソーグの鎧の呪縛から解き放たれた7人目の仲間「ナダ」を加えたリュウソウジャー達は、リュウソウチェンジを不能にする能力を持つ人間型のマイナソーと対峙する。

作品と作品ファンへの強い愛情を僅か15分で表現した良作

チーフプロデューサーが「作品を応援してくれたファンの皆さんへ向け、ギフトになるようなストーリーを」という目線で作られた本作はその思いの通りの作品となっています。7人目の戦士「ナダ」をフィーチャーするとは…とにかく心にしみますね。と同時に、TVシリーズ32話と33話の間を描くという”その後”ではなく”あの時”という時間軸も、番組終了後に制作される作品にとっては斬新な切り口だったのではないでしょうか。

作品冒頭、龍井うい役 金城茉奈さんへの追悼メッセージ

作品冒頭に「in loving memory of Mana Kinjo」との表記が現れます。和訳すると「我々の愛する金城茉奈に捧ぐ」となります。※筆者調べ 昨年12月に亡くなられた龍井うい役の金城茉奈さんを追悼するメッセージでスタート。あえて日本語で表記しなかったことはお子さんへの配慮なのかなと感じました。事実は悲しいですが、知らないお子さんにわざわざ伝えることもないのかなと思いました。ういちゃんはいつまでも我々の中で生き続けています。製作サイドがこの思いをスクリーンで表現することはとても意味深いですね。

帰ってきたナダ

スクリーンでナダの姿が見れるなんて思いもしませんでした。まさにファンへのギフトですね。あの関西弁が聞けるとなんだかワクワクするのは私だけでしょうか(笑)本作でナダの語るガイソウルの真実は重要であり、しっかりとナダの結末を意識した脚本が良かったなと思いました。語る相手もバンバというのがストーリーの深みを感じれる演出に感じました。

坂本浩一×宮原華音

坂本監督といえばやはりアクション!本作制作には様々な制限があったようですが、ちゃんとアクションを盛り込み坂本監督らしさが発揮されていました。特に監督自らキャスティングした宮原華音さんが凄い!特撮好きなら仮面ライダーアマゾンズやウルトラマンZでその存在をご存知だとは思いますがついにスーパー戦隊に参戦です。やっぱりアクションのキレがイイですね~。足技の美しさを見せつけてきます。きれいなお腹も見せつけてきます。

やっぱり泣けるエンデイング

事件を解決したリュウソウジャー7人。7人が肩を組み夕日が映るシーンは感動てきでした。TVシリーズの回想シーンもあり、ナダとの卓球シーンやビデオメッセージは当然ぐっとくるんですが、追い打ちをかけてくる龍井親子。その姿を見れば当然感慨深くなりますよね。ホント、いろんなこと思い出させるのと同時に、改めてリュウソウジャーを心へ焼き付けた瞬間でした。

〈熱くなる〉機界戦隊ゼンカイジャーTHEMOVIE赤い戦い!オール戦隊大集会!!

“あらすじ”

トジテンド王朝と戦うゼンカイジャー。トジテンドは並行世界から歴代スーパー戦隊を苦しめてきたワルモノたちを出現させる怪人「スーパー悪者ワルド」を誕生させた。変身アイテムのギアトリンガーをも奪われたゼンカイジャーはこのピンチを切り抜けることができるのか。

歴代キャストも登場!やっぱりオール戦隊集結は熱い!

3月から始まる新戦隊ゼンカイジャーのお披露目となった本作。世界観や各キャラクターの紹介要素も強い本作ですが45作目の特別感、本気度も全開でした。

インパクト大!1人の人間と4人のキカイノイド

やはりこの編成に触れないわけにはいかないでしょう。過去の戦隊でも人間ではないキャラクターが変身することはありましたが、1対4の編成は攻めてますね。新しさは感じますが、仮面ライダー電王のイマジンを彷彿とさせる雰囲気もあるような。電王のようなムーブメントが再び起こることを期待したいですね。

随所に感じるゴレンジャーへのリスペクト

ゼンカイジャーを見れば一目瞭然で、過去戦隊をモチーフとしたデザインですよね。メインキャラはもちろんですが、その他のキャラにも様々なネタが仕込まれていました。本作では主人公、五色田介人の両親に五色田功、美都子が登場するのですが両親の名前になんとなく見覚えがあるような…これ、ゴレンジャーOP「進め!ゴレンジャー」を歌っていた ささきいさお さんと堀江美都子さんの名前を使っていますよね。主人公のゼンカイザーのデザイン含め、かなりゴレンジャーを意識していることを感じます。45年を支える大きな柱、始まりの戦隊、ゴレンジャーなくしては今の歴史はありません。

胸アツ!オリジナルキャスト登場!

作品のスタートを盛り上げる豪華キャストが胸アツ!アカレンジャーの誠直也さんは存在感が凄いしストーリーの厚みが増します。今回は悪役にも歴代キャストが登場し、バスコ、ザミーゴ、九衛門、バングレイと短いながらも出演してくれるのって嬉しいですね。バスコの去り際に再びの登場を匂わせるセリフもありましたし今後もオリジナルキャストの出演に期待が持てます。

〈まとめ〉これまでの歴史が生み出した総合エンタメ

キラメイジャーでは笑えて、リュウソウジャーで泣けて、ゼンカイジャーで熱くなる。1パッケージにこれだけの流れを詰め込めるのは、45年続けてきた戦隊シリーズだからこそ成立できるのではないでしょうか。多様な方向性の作品が多数存在することが楽しみ方の許容を生み出し、このジェットコースターのような流れも素直に楽しめてるのではと感じました。常にチャレンジを続けていくスーパー戦隊シリーズは今後も新たな楽しみ方や価値観を見せてくれるのだと思います。

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